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【年頭所感】全日本医薬品登録販売者協会 杉本雄一会長
謹んで新年のお慶びを申し上げます。公益社団法人全日本医薬品登録販売者協会(全薬協)は登録販売者研修支援・活性化事業、研修認定登録販売者事業、医薬品の適正使用に関する啓発及び知識の普及に貢献し、公衆衛生の向上に寄与することを目的とした公益社団法人です。本年度も目的達成のために精進いたしますので、薬務行政ご担当、薬剤師会をはじめとする職能団体各位および薬業関係各位におかれましては、全薬協に対するご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
令和3年は新型コロナウイルスの流行により、グローバルな医療危機と、社会経済的な危機を抱えたまま始まりました。我々登録販売者は、市民に対して「感染症対策・公衆衛生の普及啓発・実践徹底」に向けた日常業務に専心し、その成果を上げるべき社会的使命があります。
全薬協では登録販売者がこうした社会使命を達成できるよう、研修事業等を通して尽力して参りました。今後も引き続き精励してゆく所存です。
さて、令和3年は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」のうち、薬局等におけるガバナンス関係規定の施行をはじめとして、非常に沢山の薬事関係の法令の公布や施行、関連通知の発出が行われた特筆すべき年でした。こうしたガバナンス関係規定の改正は、医薬品製造販売業等における、組織的で重大な法令違反等が発生したことを背景にしています。医療用医薬品との関係で近時、製造した水虫など真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、健康被害が出た人は全国各地の245人に上ると報道されています。
関係会社では国が承認してない工程での製造を行っていた他、不正が発覚しないように組織的な隠ぺいを長年続けてきており、こうした不正を地方薬務行政の査察でも見抜けなかったとも報道されています。その後、地方薬務行政の査察が強化されるとともに、業界団体の自主点検も実施され、他の企業での製造工程での問題が見つかり、全国で4つの企業の業務停止命令が出されています。結果として、これまでに例のない医療用医薬品の供給不足がおきているようです。
こうした事態は、医療用医薬品の製造販売に対する社会の信頼を大きく失墜する出来事です。同様の製造販売段階における不正事案報道は、一般用医薬品についてもありました。もはや、およそ医薬品についての信頼を揺るがしかねない状況なのかもしれません。
登録販売者が業務従事する職場に目を転じた場合、その業務の遂行は、社会からの信頼が高いレベルで確保されていることが前提となります。そのためには登録販売者が業務の遂行に当たり、コンプライアンス、ガバナンスの徹底に向けて、職能人として果たすべき役割を理解し、その役割を実際に果たすことが極めて重要です。
前記の通り令和3年は、非常に沢山の薬事関係の法令の公布や施行、関連通知の発出が行われました。とりわけ、不正事案対策として行われたガバナンスに関する改正により、薬事関係規制は一層複雑になりました。全薬協では薬事関係規制の周知・徹底等を通して、登録販売者がこうした社会的任務を果たせるよう、公益団体としての情報発信力・支援体制の強化に邁進する所存です。
ところで薬事関係規制の円滑・確実な執行を監督する上で、厚生労働省とともに、地方薬務行政が果たされる役割の大きさは言うまでもありません。一般用医薬品販売制度や登録販売者制度(以下「一般用医薬品販売制度等」という。)が円滑・確実に遂行される上で、法令遵守の監視等を担当される最前線は、地方薬務行政に他なりません。ところが地方薬務行政のご担当範囲は、感染症対策等を含めた医療領域の拡大と複雑化が避けられず、反面、一般用医薬品販売制度等について割ける時間が窮屈になっているような感があります。こうした状況があるだけに、全薬協が職能団体として地方協会と連携し、薬事関係規制の円滑・確実な執行を公益事業としてお支えする役割は益々、重要性が高くなっています。
全薬協は、これへの対処力を一層強化していきます。
登録販売者の外部研修との関係では、いわゆる「研修省令」の施行が令和4年4月1日に迫っています。今後、登録販売者の外部研修ガイドラインの見直しを含めた具体策が、公表されると想起されます。全薬協は、登録販売者のあるべき姿につき、その仲間が、資質向上に係わる情報の収集と分析に努め、これを基にプランを策定・実行を支援する公益目的の団体です。
特に登録販売者の職能に応じた、最長・最適の実績を有する外部研修実施機関として、登録販売者の資質向上のための研修の専門性・客観性・公正性の確保・充実に努めて参りました。本年もその一層の充実・強化を実践して参ります。
関係各位におかれましては、旧倍のご指導・ご鞭撻を賜りますよう改めてお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げまして、新年のご挨拶といたします。