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2022.01.05

【年頭所感】日本薬剤師会 山本信夫会長

新年あけましておめでとうございます。薬局新聞をお読みの皆様におかれましては、お健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。また日頃から、紙面を通じて日本薬剤師会の活動にご支援を頂き、ありがとうございます。
さて、昨年は2020年に国内初の感染が発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受けて、多くの会議等が対面での開催が困難な状況となりました。加えてコロナウイルスの変異株の出現もあり、これまで経験したことのない第4波、第5波のパンデミックの到来と、それに対処するための度重なる緊急事態宣言が発令されるなど、国民生活がCOVID―19に翻弄された一年でありました。
昨年2月からスタートしたワクチン接種については、速やかに全ての国民が2回接種の完了を目指すという国の方針のもと、各地の薬剤師が集団接種会場等で不足しがちなワクチンの打ち手を確保する観点から、協力を行いました。
提供されるワクチンの特性等を踏まえて、患者への接種前の問診やワクチンの注射筒への充填作業等を通じて、迅速な接種環境の確保に協力するなど、通常の業務に加えて「有事における薬剤師の活動」が進められた年でした。
また、感染者の急増に伴い、自宅あるいは施設等で療養を余儀なくされた地域の方々への、切れ目のない医薬品提供体制を維持し、地域住民への円滑な医薬品提供を通じて、地域医療への貢献も滞ることなく実施できたものと思います。
一方、改正薬機法は施行2年目を迎え、超高齢社会を見据えた薬剤師・薬局の新たな姿を目指す、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局という認定薬局制度がスタートしました。
昨年中の新たな認定薬局の認定数は決して多いとは申せませんが、目先の認定にとらわれること無く、地域住民の医薬品ニーズに即応可能な新たな概念に基づいた基本的機能を備えた薬局として、その枠割を担い地域住民から確実な信頼が得られるよう、本年は不断の努力が求められることになります。
これまで以上にセルフケア/セルフメディケーションに積極的に取り組み、「医薬品の安全は薬剤師が守る」という気概のもとで、調剤業務とともに、薬剤師職務の両輪である、OTC医薬品への積極的な対応や、地域の方々からの健康相談などに対応できる体制の構築が急務のことと考えています。
そのためには、地域の医薬品提供体制の実情を踏まえて、地域住民のニーズの解決に向けて的確・適切な取り組みが不可欠であると考えます。
さらに近年の規制改革の圧力は、様々に形を変えながら、薬剤師業務の変革や規制緩和を求めています。
医薬品の専門職を自他ともに任ずる薬剤師としては、国が進めるICT化やデジタル化が薬剤師業務に大きな影響を与えることに対して臆することなく、「薬剤師の本質的な業務」について自ら再検討を加えることが求められています。
「薬剤師の本質的な業務」については自ら再検討を加え、国民・患者の医薬品に係る安全を守るために、「薬剤師の役割は何か?」と言う基本的命題について、温故知新これまでの歴史を振り返りながら、現在の実態を踏まえて将来の在り方を模索し、「真に薬剤師の輝ける年」を目指したいと思います。
結びに、皆様のますますのご降盛を祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。

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